かえつ有明中学校

教科指導
「話せない」も受け止める。かえつ有明中学校が磨く、自分の言葉で語る力

四谷進学会・ 溝田:
これまでのインタビューで、プレゼンが上手な生徒さんが多いということが分かりましたが、どのような指導をされているのでしょうか?
かえつ有明中・宇野先生:
よく「入学してどれくらいでプレゼン上手になるんですか」と聞かれるのですが、発想が少し違います。「トレーニングしていつかできるようになる」のではなく、そもそも全員がちゃんとできると信じているんです。34人程度のクラスでは、どうしても目立つ子と目立たない子は出てきますが、目立たない子は遠慮しているだけ。安心して話せる場をきちんと用意してあげれば、いくらでも言葉は自然と出てくると考えています。
四谷進学会・溝田:
それでも、人前で話すのが苦手な生徒もいると思います。
かえつ有明中・宇野先生:
もちろんいます。順番が回ってきても、今はどうしても話せないということであれば、「無理に話さなくていい」と伝えます。話せないのにはそれなりの理由があるはずなので、それをみんなが共感的に受け止められる雰囲気があります。「何かをやることが前提」ではなく、「今どんな気持ちでいるか」の確認から始める。それが本校の学びの根底にあります。
四谷進学会・溝田:
具体的にはどのような授業で力を伸ばしているのでしょうか?
かえつ有明中・宇野先生:
中学では「サイエンス」、高校では「プロジェクト(探究)」という探究の授業があり、SEL(社会性と情動の学習)を重視しています。さらに水曜5限は全学年(一部クラス除く)が同じ時間にこの授業を行っているため、学年を超えた学び合いの場を設けています。先輩の話を聴いたり、後輩に自分の経験を伝えたりすることで、「自分は今後どうあるべきか」を考える刺激になっていると感じます。
四谷進学会・溝田:
学年の枠を超えて、自分の言葉で語る力が育っていくのですね。
かえつ有明中・宇野先生:
はい。最初は誰でも気まずいものですが、グループワークに慣れている本校では、アイスブレイクを経て自然と声が出るようになります。そうやって積み重ねた経験が、台本のないプレゼンにもつながっているのだと思います。
四谷進学会・溝田:
とは言っても、先輩に話をすることは緊張するのではないですか。
かえつ有明中・宇野先生:
ドルフィンという図書館にカードゲームがたくさん用意されています。アイスブレイクでは、まずそのカードゲームを使って自然と声が出る雰囲気をつくります。そうして本題のグループワークに入る頃には、誰が何年生なのか、正直外から見ても全然わからなくなります。それに、中にはその空気に乗れない子もいますが、それはそれで正直いいと思ってます。その空気に乗れなかった自分ってなんだろうって絶対その後一人で考えるので、その内省が大切なのだと思っています。
四谷進学会・溝田:
対話の時間を大切にしていることがよく分かりました。一方で、対話だけではなく進路対策や大学受験対策も学びの中にはつきもののように思います。
かえつ有明中・宇野先生:
はい。大学受験に関して、ちょうど先日のオンライン説明会の質疑応答で、ある保護者の方から率直な質問をいただきました。「最近、年内入試でも合格実績を伸ばしているかえつでは、一般選抜の生徒が、他の受験方法を選んでいる周りに左右されずに自分で頑張ることができるのか?」という質問です。
その保護者さんには、率直にお話させていただきました。総合型選抜や学校推薦型選抜を選ぶ生徒達は、自分の生き方とか過去とか未来とかを深く深く見つめ、それを大学側に上手にアピールしなければいけません。もしかしたら一般選抜を選ぶよりもすごく苦しい学びかもしれません。かえつ有明では、学び方や授業のスタイルで、3つのタイプのクラスに分かれます。その学びの特徴をいかして大学受験にも取り組んでいます。中学で多様な学びを経験して、高校で自分に合った学び方のクラスを選択する。その特徴的なシステムを踏まえた上で学校も選んでほしい。そう伝えました。
四谷進学会・溝田:
受験生の保護者さんと信頼関係を築けているのは、先生方の思いを正直にお伝えしているからなのですね。
かえつ有明中・宇野先生:
そうです。かえつの個性的な部分やお子さまに合わない可能性も、率直にお伝えしています。 いい学校が他にあればそっちの方がいいですよって正直に言います。それはやっぱり受験生の保護者の方にも一緒に考えてほしいし、この中学受験で一緒に成長してほしいと思っているんです。

