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海城中学校

海城中学校

教師インタビュー

教師対談

 

福島先生:社会科担当
上野先生:数学科担当

 

四谷進学会:海城の授業に関する、他校にない強みや特長を教えてください。

 

 

 

福島先生:はい。私がこの学校に来て一番驚いたのは、職員室が教科別職員室であることです。仕事の本拠地は教科別職員室になるので、社会科の他の先生方と日々の生活を共にしている、という感じなんですね。ですので、この分野の教え方に少し行き詰っているんだよなあ・・・という時には、すぐに周りの同僚からアドバイスをもらえたりします。これは海城ならではの良い点だと思います。また、海城では、個々の教員の裁量権も大きいですし、研鑽や努力を評価してもらえていて、任されているということなのだと思います。

 

 

また、一つの授業を複数の教員で受け持つ場合も多いです。それにより、知識やノウハウが同僚の中でも自然に共有されていく点も良い影響があると思います。

 

あとは、社会科には独自科目がありまして、中学1~3年生で年に2単位ずつ、合計6単位分の課題解決型の総合学習を設定しています。その内容は、生徒たちの社会に対する興味・関心を拾い上げたり広げさせたりしていくんですが、その組み立てとか展開にはマニュアルなんてないので、ひとりひとりの教員の力量に委ねられているんです。そこには、学校から任されているという、教員としての自信とか矜持にも繋がるものがありますし、授業をワクワクと待ってくれている生徒達の要望に応えているという嬉しさや自負もあります。

 

 

上野先生:確かに、職員室が教科ごとに分かれているというのは教員の指導を効果的に行う上で、大切なことですね。今ではそれが当たり前になってしまっていますが、ありがたいことですよね。

 

 

 

四谷進学会:数学に関しては、教科担当の先生方みなさんでカリキュラムを組んでいかれるのですか?

 

 

 

上野先生:そうですね。同一のカリキュラムに沿って行われるのが基本です。もちろん、少し進路がずれたり、教員の個性に沿ったやり方など、そのあたりは各教員の裁量で臨機応変に行います。内容に関しては最低限のものは決まっていて、そこに濃淡つけるのは各教員の裁量でという形ですね。

 

 

福島先生:その辺の濃淡の付け方って、はたから見ていると興味深いと言うか贅沢と言うか(笑)
ここで丁寧に深掘りしてるな、とか。そういうのはかなり授業担当者の裁量ですよね。

 

 

上野先生:少し前までは、教材も統一してやっていましたが、教科書がそんなに深堀りされた教科書ではないので、最低限のところはその教科書の内容を行い、プラスアルファのところは各教員で工夫して強調したいところを強調したり。そんな風にやっています。

 

 

 

四谷進学会:学校によってその辺りはカラーが分かれる所ですよね。海城の根本的な考え方が現れていると思うのですが、そういったカリキュラムを構築する考え方は、なにかきっかけがあったのですか?

 

 

 

上野先生:今のやり方に変えたのは、私が海城に入る少し前だったのですが、模試の成績などが学年によって差ができたりする時期があったようです。もちろんそれだけではないですが、ひとつの契機になったのかなと思います。変更後はどの学年も安定しています。

 

 

 

四谷進学会:ごく一部の子には良いけれど全体を見た時に差があったわけですね。

 

 

 

上野先生:そうですね。教員の裁量を少し減らし、もう少し最低限ここまではきっちりやろうと。それ以上のところは各教員の自由という形ですね。

 

 

 

四谷進学会:難関校の学校は授業内容も難しいと思います。

 

 

 

福島先生:生徒たちの知的好奇心をくすぐらなければなりませんから、それなりのクオリティのものを扱わなければというプレッシャーは常にありますが、一方で生徒レベルの底上げという点は、やはり近年意識してる所にはなりますね。

 

 

 

 

 

 

四谷進学会:テスト作成方法も先生方で共有されてるんでしょうか?

 

 

 

上野先生:平均点は大体これぐらいにしたいよね、と言うところは決めておいて、あとは各教員の裁量という形です。
ただし、試験はここ数年前から毎年データを集めていて、それをすぐ拾って見られるようにはしています。

 

 

 

四谷進学会:教科が異なる先生方とのコミュニケーションはどのようにとられているんですか?

 

 

 

福島先生:例えば、私は高一の担任ですが、別教科の教員と顔を合わせるのは基本的に会議の時しかないですね。教科別職員室を置くことで、同じ教科の教員とのコミュニケーションはより密になりますが、そう考えるとある意味トレードオフなのかもしれません。

 

ただし、特に中学の間は生徒の情報共有を丁寧に行っていて、頻繁に校舎をまわって出会う教員と自然と立ち話したりしていますね
あとは学年主任が、公立のようにクラスを持たないので、8クラスの遊撃隊じゃないですけど、そんな風にネットワークの核みたいになっていて、そういうところでの情報共有は大きいと思っています。

 

 

 

四谷進学会:つまずきかけた生徒に対してのフォローの仕方を教えてください。

 

 

 

福島先生:数学は、そこら辺は特に丁寧ですよね

 

 

上野先生:はい。放課後に講習があるのですが、低学年のうちはテストの点数で呼び出して
20人から30人ぐらいの補習をやっています。よく説明会では保護者の方からどうなっているか聞かれますね。

 

 

福島先生:特に中1から高1ぐらいまでの四年間は重点的に、そういう躓いてしまった生徒に対して丁寧におこなっているほうだと思います。高1ですが英語科は下位の子をこっそり集めて補習をやっていたそうです。社会科の場合は、確認テストやノートチェックをしたりしますね。ノートチェックは、授業内容をノートにとる習慣のない子にノートをとることを習慣づけたり、どういうところで生徒がつまずいているのかを生徒のノートを見ることで教員が気付いたりといった感じですね。

 

また、総合学習は課題解決型のレポートを提出して、それが定期考査の代わりになりますので、レポートを出さないと成績がつかないんですね。でも、レポートを出せない子っていうのが一定割合いるものなんですよ。なので、レポートを書けない子を放課後呼んで、この子は単に怠けているだけだから叱った方がいいとか、それとも寄り添ってあげてどこでつまずいているのかから探って、ある程度手伝ってあげる方がいいとか、見極める必要があります。時間は掛かりますが、大切なことですからね。

 

 

 

 

 

 

四谷進学会:課題解決型学習は、具体的にはどのようにやっていらっしゃいますか?

 

 

 

福島先生:基本的には1回目もしくは2回目から、自分でテーマを見つけて社会的な問題を見つけて、それについて自分で調べて本を借りて読む、あるいは人にアポイントを取って会いに行き、自分でレポートにまとめる。初めて使うWordなので、人差し指でキーボードを打ったりとか、色々頑張りながら打ち込んだり、というのを全員に課していますね。

 

 

四谷進学会:人にアポイントをとって会うのは、コミュニケーション力も培われますね。

 

 

福島先生:最近は、自宅の電話が鳴っても取らせない家も増えたみたいですが、そういう世の中で、全く知らない人に自分から電話かけるという経験がない子がほとんどなので、12歳~13歳の子に電話の掛け方や「もしもし、はじめまして、突然のお電話で失礼いたします。」といった挨拶から教えたり、生徒同士で電話のロールプレイングをさせたりしています。あとは、取材の後のお礼状の書き方とかまでやらせています。最終的には卒業論文を1万2000字から2万字程度、中学校3年生でも書けるようになるところまで指導しています。

 

 

 

四谷進学会:お話しを聞くと、高校卒業時点には社会人になるための土台が出来上がるように思えるのですが。

 

 

福島先生:だといいんですけどね(笑) レポートというと、本来は大学に入ってからですよね。それが中学からというのは面白い取り組みだとは思いますね。

 

 

 

四谷進学会:それだけの量のレポートを採点するのも先生方としては大変ではないですか?

 

 

 

福島先生:コメントをつけて返さなければいけないので教員は大変です。また、最近はやはりプレゼン発表にも力を入れていまして、単にレポート出して終わりではありません。レポートで書いた内容を、発表用にまとめなおして、レジュメやパワーポイント資料を作ったりもしています。それを、クラスのみんなの前で発表するのもカリキュラムに入れています。
現在の水準から必要とされるものを織り込んで、社会科は常にアップデートされていると思いますね。

 

 

 

四谷進学会:大学入試を目的としている感じはなく、その先を見据えているという感じがします。

 

 

 

福島先生:そうですね。社会科というのは、大学入試を意識するというよりも、本来そのように自分が生きている社会について色々興味を持ったり、知的欲求から調べ、人に伝えるまでが学習だ、という理念がベースにあります。

 

 

 

四谷進学会:新社会人は、プレゼンやパワーポイントの使い方など、できないことだらけで、仕事をしながら学んでいくと思うのですが、高校卒業時点である程度できる状態までいっているという感じがします。

 

 

 

福島先生:もちろん社会人レベルとまではいかないですけれど。高校に上がると、情報科とか家庭科とか一般的にはとっつきにくいと言われる授業の中で、いかに興味を持たせるかを先生達もかなり工夫されていらっしゃって、生徒たちにプレゼンを振ってみて、それを軸に授業を組み立てたりと、授業内容にうまく興味を持たせたりしています。ですので、生徒たちからするとそういうノウハウはかなりたまっていると思います。

 

 

 

四谷進学会:数学に関しては、公立の学校にはないような授業のやり方はありますか?

 

 

 

上野先生:一例として、統計を使ってやっています。習った知識使って、例えば野球などのスポーツでデータを全部出してそれの相関関係を出したり、サッカーで点数が入る要因を分析したり。

 

 

 

四谷進学会:とても面白そうですね。

 

 

 

上野先生:とはいえ、数学だと問題を解くというのがメインになりがちです。社会科のように、本当はもっと実践的に、習ったものが使えると良いなと思っています。もちろん折に触れて実践的に利用する方法を説明はしたりはしてますが・・・。
当然、大学入試も考えなければならないし、無駄な時間を割くことはできないので、そこはちょっとジレンマと言うか、改善の余地があるなとは思います。

 

 

 

 

 

四谷進学会:授業時間としてもう少し欲しいということですか?

 

 

上野先生:ある程度コマ数は割いてもらっているので、なかなか難しいところだとは思います。普通の進学校のスピードで高2までに全範囲を終わらせて、高3からは演習問題に入るという感じなので、まあ時間に余裕があるとは言えないですね。

 

 

 

四谷進学会:海城には他にどんな先生がいるのかもお聞きしたいです。いろんな先生がいらっしゃるとは思いますが、多様性を重視しているか、または何らかの共通した特性を重視しているのかなど、いかがでしょうか?

 

 

 

福島先生:昔はやっぱり色んな名物先生とかいらっしゃいましたよね。だんだん定年退職でいわゆる「濃い先生」は引退されていきますが、定年で抜けられた先生の補充は、実は教科ごとに採用人事を主体的にやっています。そうすると若いけど面白い先生や、色んな経歴の先生を引っ張ってきますので、そこら辺はうまくいっている方だと思います。とはいえ、昔に比べれば「常識的」な範囲でおさまっているんじゃないんですかね。

 

 

 

四谷進学会:グループワークやディスカッションについてはどうですか?

 

 

 

福島先生:海城というよりも今の時代そのものがそうなっていると思いますが、「机くっつけて」と言うと、生徒がさっとすぐくっつけて、勝手にどんどん自分の解釈を語り始めたり、教えあったりという形が自然にできていますよね。

 

もちろん、ディスカッションはそれを重視する伝統や生徒たちの能力の高さも大きく関わりがあると思います。そもそも海城はディスカッションの機会も多くとっていますしね。

 

 

 

四谷進学会:海城の学習の様子が分かる濃い内容のインタビューになったと思います。ありがとうございました。

 

 

 

福島先生・上野先生:ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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