京華女子中学校
代表インタビュー
理念について~ダイヤモンドの原石を磨く~
四谷進学会:岡田先生にお話しを伺っていきます。よろしくお願い致します。
岡田先生:よろしくお願いします。
四谷進学会:まず、理念のところをホームページ拝見して「英才とはいわゆる秀才にあらず。固き材木の材、社会、国家に有用の材をいう。」という文言がありましたが、こちらの意味についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
岡田先生:よく説明会でも話しますが、生徒はダイヤモンドの原石だと思っているということです。磨けば磨くほど、どんどん輝いていくと考えています。ただそのダイヤモンドを磨くためには、やはり色んな生徒であったり、教員だったり、親であったり、社会に関わることなどが必要です。いろいろな人と関わることで、子ども達が磨かれて輝いていくだろうという風に考えています。それがこの「天下の英才を得て之を教育す」ということかと思います。
ただし、この英才は秀才のことを指している訳ではありません。秀才ではなく普通の人であっても、社会に出て、活躍できるようそういう人間に育てていきたいと考えているので、それが天下の英才だと思います。
四谷進学会:秀才ではなく、英才にアプローチしていこうということなんですね。ありがとうございます。やはり、御校で育てることが得意な生徒様というのは、どちらかというとトップ層というよりかは、秀才ではない一般的な生徒様というところなのでしょうか?
岡田先生:色んな生徒いますので、一概には中々言えないです。入学してくる時から、学力が高く自信を持っている生徒もいますし、なかなか自信が持てないという生徒もいます。でも、だからこそ良いという気がします。似たような生徒ばかり集まってしまうと、先生の方は確かに楽ではありますが、一方生徒の方には気づきや成長があまりなくなってしまう可能性があります。
四谷進学会:ありがとうございます。ホームページには他にも「創立者の『ネバーダイ』『一に実行、二に実行、三に実行』という言葉が諦めることなく、忍耐強く歩む京華生の合言葉です」という文言もありました。
こちらの言葉を聞いた時に、女子校らしくないというか、挑戦する姿勢を創立者がすごくこだわっていたのだろうと思いました。そこまで挑戦することにこだわっていた理由はありますか?
岡田先生:京華はもともと男子校の京華尋常中学校から始まっています。それから商業高校、そして最後にできたのがこの女子校です。最初の頃、ネバーダイは、男の子に向けての発信だったのだと思います。ただ、「賢い女性に」ということを我々は教育の一つの理念として考えていて、普段から失敗を恐れないでチャレンジすることを生徒に求めています。やはり今の子は失敗することを恐れています。でもそういった経験がないと一度何か失敗した時に、立ち直れなくなったり、失敗に対する恐怖で何もできなくなったりしてしまうことがあります。中学時代、高校時代は色んなことにチャレンジして失敗しても、あきらめずに何度も挑戦することが大事です。それを今、繰り返し話をしています。
四谷進学会:中々、チャレンジしなさいと言っても、一歩が踏み出せ子もいると思います。そういう時、学校側としてどのようにフォローしているのでしょうか?
岡田先生:どんなチャレンジでも良いです。みんなの前でなくても構いません。例えば、作文コンクールがあったら、ちょっとそれにチャレンジしようかなとか、写真が好きだったら写真のコンクールに出してみようかなとか、家族のために料理を作ってみようかなとか。今までやったことがないものを、何か自分で見つけてやっていくだけでも良いと思います。
四谷進学会:ありがとうございます。
岡田先生:京華女子には、京華サポートクラブ(KSC)という説明会のお手伝いをする有志団体があります。KSCには受付や案内、司会など手伝ってもらっていて、その生徒は立候補で募ります。保護者や受験生の前で話をするので最初は当然緊張しています。失敗しても構わないからと言って頑張ってやらせてみて、終わった後に感想を聞くと、「声が震えちゃいました」とか「早口になってしまいました」とか言うのですが、「大丈夫だよ。ハキハキしていて聞き取りやすかったよ。次回はもっと良くなるだろうから。次回も頑張ってね」と言います。それを繰り返しています。
四谷進学会:フィードバックの際に、良い点にフォーカスしているということですね。
岡田先生:そうですね。緊張している様子を見ている我々はヒヤヒヤしますが。
四谷進学会:そうですよね。そこを任せるというのは、先生方、大人側の度量も試されると思います。
岡田先生:やはり任せることは重要だと思います。すぐ手助けをすると、形としては上手くいくかもしれないですが、生徒はそれでは成長しないと考えています。最後までやってみて、自分に自信がつくこともあるでしょうし、反省することもあるでしょう。その反省がまた次回に活かされて、という形になっています。
四谷進学会:先生ご自身がこういった理念を叶えていくために、今現在、難しいと感じているような課題はありますか?
岡田先生:生徒が忙しいということは、まずあります。勉強もしなければいけない、クラブもやっている、スマホも見る、YouTubeを見るなど時間をうまく作らないといけません。現代の生活環境がそうなってしまっているので、一昔前よりも、色んな刺激的なものがある分、ちょっと可哀想だと感じています。
3校ワンキャンパスの新たな取り組み
四谷進学会:京華学園自体が、来年の11月に創立125周年を迎えられると伺いしました。その伝統と歴史の中で、御校が特にこれからも守っていかなければならないと考えているコアの部分は、どういうところになりますか?
岡田先生:脈々と続いたこの伝統というのは、守っていかなければならないと考えています。女子教育に特化した女子校だからこそできることがたくさんあります。しかし、それに留まっていてはいけないと思うので、学園として、また新しい道を探ってやっていく必要あると思います。
四谷進学会:新しい道というのは具体的にどのようなものでしょうか?
岡田先生:2024年に女子校が男子校・商業高校のある場所に移転して、3校ワンキャンパスという形になります。男子校の京華中学・高等学校、女子校の京華女子中学・高等学校、共学の京華商業高校にはそれぞれの教育があります。それが同じキャンパスになるというのは、日本を探してもあまりないと思います。共学化がブームになっていますが、3校ワンキャンパス化しても女子教育は女子、男子教育は男子で行っていきます。ただ、同じキャンパスいて、クラブやイベントなどを一緒に活動していくことによって、より意欲や能力が発揮できる場面に繋がっていくと期待しています。
四谷進学会:今後の方向性としても、共学、男子校、女子校それぞれの関わり合いも増やしていく方向ですか?
岡田先生:そうですね。多様性の時代にふさわしく「男女別学と共学校のいいとこ取り」という感じです。
四谷進学会:現在の関わり合いは部活動のみですか?
岡田先生:文化祭も3校合同でやっています。あとは、英検講習といって英検準一級などを目指す生徒だけを男子校、女子校、商業から集めて、講習を開くこともあります。そうすると、普段全然会わない生徒達と一緒に勉強をすることになるので、やっぱりちょっと刺激になります。あとは、ビブリオバトルという本を紹介するものも3校で文化祭や3学期にやっています。これもやはり、女子だけ男子だけでやると、似たような傾向の本が出てくるのですが、そこに色んな生徒が入ってくると、「こういう本を選んでくるんだ」という新たな発見や「こういう読み方をするんだ」という刺激があります。こういった企画もやはり女子校の中で、みんなの前で発表するのが恥ずかしくないという経験があるからこそ、3校が集まってもできると思うのです。そこが共学だと、どうしても気後れしてしまう女の子が出てきてしまう可能性があると思います。
授業の特徴~新しい教育カリキュラムの追求~
四谷進学会:教科指導のところをお伺いできればと思うんですけれども、指定校推薦ですとか、私立中堅校以上への進学を目標とし、3年次の1学期までに高校全課程を終了しますとホームページに記載していたかと思います。結構スピードが速いと思うのですが、いかがでしょうか?
岡田先生:そんなに速い訳ではないです。実際、授業が終わるのは高3の2学期です。高校は基本的に4クラスありS特進クラスが1クラス、進学クラスが3クラスです。指定校推薦が使えるのは進学クラスの生徒達です。このクラスは、指定校推薦や総合型選抜などを考える生徒が多いです。2学期には試験が始まるので、1学期までにある程度は終わらせるということです。S特進は一般受験をメインで難関大学を目指していくというクラスです。
四谷進学会:大学の進学実績も拝見しましたところ、この2年で実績が急上昇していると思うのですが、その要因はどのようなところにあるのでしょうか?
岡田先生:今年卒業した生徒達は、3年前に新しいカリキュラムに変えて、アクティブラーニングを積極的に行い、また新しく始まる共通テストに向けた対策をしていました。それが結果的には、国公立大学だけでなく私立大学の合格にも繋がっていったようです。
四谷進学会:授業において、ICTを活用している点も御校の特徴かと思うのですが、具体的にどういった機器を使っているのですか?
岡田先生:生徒1人1台タブレットを持っているので、それを使って授業を進めたり、プロジェクターで映したりしています。それが本当に日常的に行われています。
四谷進学会:発表プレゼンなど生徒さんが発表する機会を多く設けていると思うのですが、そこにこだわっている理由は何かありますか?
岡田先生:一昔前は、教員が黒板を使って一方的に教えたものを知識として身につけさせ、それがどれだけ身についたかで、学力が測られていました。しかし今はそうではありません。人の話を聞くだけでなく、自分がどう思うかどう考えるかということを言葉にして伝えるという中で、そこに色んな人が集まってくると、様々な考え方や表現の仕方を学べます。そしてそこには創意工夫を続けていくことになります。その点で、発表するというのは、とても良いやり方だと思います。
発表しないとスルーされてしまうような曖昧な部分も、発表すると、「あれ何かな?」という気づきも出てきます。
イングリッシュキャンプ~生徒たちの人間関係構築について~
四谷進学会:特徴的なところでは、中学校1年生の時に、ネイティブの講師の先生と合宿をされるとのことですが、こちらについてお伺いしてよろしいでしょうか?
岡田先生:イングリッシュキャンプと言われるものです。去年も今年もコロナでできなかったのですが、来年はやっていこうと思っています。生徒7、8人に1人ネイティブの先生をつけて2泊3日英語漬けの生活を送ります。中学1年生の最初の頃に行くものなので、そんなに流暢にみんな喋れる訳ではないのですが、外国人の先生も距離を置くことなく、本当に親しみやすくやってくれるので、抵抗なくできるような行事になっています。
四谷進学会:関係性ができてない早いタイミングで、日本語もあまり使わないというのは、生徒さんにとってストレッチな行事なのではないでしょうか。
岡田先生:あえてそういうのも、面白いという気がします。高校1年生も入学して、始業式の翌日から1泊2日のオリエンテーション合宿に行きます。本当に誰も知らない中で、行事が始まるのです。しかし、それをやることによって、新しい学校生活への不安が取り除けることが多いです。中学1年生のイングリッシュキャンプも、1学期の本当に早い時期に仲間と宿泊をして、キャンプファイヤーや飯ごう炊さんを経験する中で人間関係が築かれてきます。
四谷進学会:イングリッシュキャンプと銘打っていますが、日本語は制限されるのですか?
岡田先生:レッスン中は日本語をある程度制限をし、伝わらないときはジェスチャーや友達の助けを借りてコミュニケーションをとるようにしています。
四谷進学会:基本的には、ネイティブの講師と話す時に英語を使っているという形でしょうか?
岡田先生:基本的には英語を使って、日常生活もします。ただ、本当に文法もまだ知らないので、身振り手振りで伝えています。あとはネイティブの先生も日本語は当然できますので安心です。そして、最後は英語劇もやります。
四谷進学会:英語劇ですか。もうその段階からも発表することに慣れていくのですね。
岡田先生:そうですね。劇のストーリーもセリフも先生に質問しながら生徒達が作っていきます。仲間と力を合わせて1つのものを作り上げて、緊張しながらもみんなの前で発表することができたときの達成感は大きな自信に繋がると思います。
明るく、チャレンジ精神がある先生がた
四谷進学会:先生方についてお伺いできればと思うのですが、まず先生を採用する際に、どのような先生を集めているのか、どういった性質の先生が多いのでしょうか?
岡田先生:やはり明るくて生徒が好きな先生が良いと思います。そして色んなことにチャレンジしようという意欲のある先生に是非来てもらいたいなと思っています。そのために、面接はもちろんですが、模擬授業をしてもらいどれだけ興味づけができるか、理解させるための工夫をどれだけしているかをじっくり見て採用します。
四谷進学会:そういったチャレンジを先生方にも推奨しているから、生徒さんの方にもチャレンジの文化が根付いているのかもしれないですね。
岡田先生:そうですね。同じことをずっと続けるのではなく、いいものは残しながらもそこに何か1つでも新しいことを取り入れて、授業でも何でも工夫をしていくことが大切だと思います。
四谷進学会:先生方はやはり日々ご多忙だと思うのですが、効率の良い働き方や学校全体を通して工夫している点はありますか?
岡田先生:全ての会議ではないのですが、授業の1時間目から6時間目の間の空き時間の中で、会議を行うということはやっています。先生達が放課後に全ての会議を設定してしまうと、クラブもできないし、生徒指導もできなくなってしまいます。できそうなものは空き時間で終わらせてしまうというところが一つです。やはりあとは、働き方改革が始まったので、帰る時間もこの時間には必ず帰るように伝えています。
四谷進学会:何か先生の間でのハラスメント対策などは行っていますか?
岡田先生:そういうもの特にはないです。来年度から法的に必ず設置しなければいけなくなりますので、ハラスメント防止委員会の準備をしています。女性の先生も多いので安心してもらうには、そういうものがあった方が当然良いとは思います。
四谷進学会:逆に言うとそこまで対策しなくても、あまり問題は起こってないということなのですね。
岡田先生:そうですね。
生徒の特徴~見知らぬ子にもあたたかな声援を送る生徒たち~
四谷進学会:岡田先生は最近赴任されたばかりだと思うのですが、京華女子で働いていて良かったなと思うことはありますか?
岡田:30数年男子校である京華中学高等学校にずっといて、そのまま定年を迎えると思ったら、残りの数年で京華女子に来て、色んな発見があったことは良かったと思います。生徒というのは、こんなにも男の子と女の子で違うんだということが分かりました。そのため当然私も、授業のアプローチの仕方も生徒への接し方も変えないといけません。この年になってからもやはり学ばなければいけないことはたくさんあるなと思います。それが本当に楽しいです。
四谷進学会:素晴らしいですね。男子校から赴任されてきて、一番大きなカルチャーショックは何でしたか?
岡田先生:去年、高校2年生の「探究」という授業で、クエストカップというある企業から与えられたミッションを解決するプレゼン大会の全国大会に一つのグループが出ました。たまたま私が教えているクラスの生徒達だったので、見に来てくださいと言われて、Zoomを開いて全国大会のプレゼンに向けて準備をしていました。
各学校の時間が決まっていて、前の学校が始まったころにカメラの位置や立ち位置の確認など準備を始めました。
その時、前の学校の生徒が審査員の方と質疑応答していたのですが、一人の女の子が質問に対して何も答えられず黙ってしまいました。その様子に気づいた彼女達が準備をするのをやめて集まってきて、「頑張って、頑張って」と言い出すのです。全然知らない他校の生徒に対して、聞こえるはずもないのですが、画面に向かって言っているのです。それを見た時に、なんて良い子なんだと思いました。自分が高校生の時だったら、まず自分たちの準備を優先していて多分できないです。それができるというのは、すごいなと思いました。本当にカルチャーショックでした。
四谷進学会:とても良い子達ですね。素敵なエピソードをありがとうございます。
ご家庭におすすめの行事、部活動について
四谷進学会:これから受験を控えてらっしゃるご家庭の方もいらっしゃると思うんですけれども、そういった方達に向けて、特に見てほしいおすすめの行事や力を入れている行事はありますか?
岡田先生:京華祭という文化祭や体育祭ですが、一度学校に来てもらって、生徒のありのままの様子を見てもらうのが一番という気がします。日頃の生徒の雰囲気や学校の様子を見てもらうと、来てもらった保護者の方は気に入ってくれます。どうしてもホームページや雑誌だけだとか、伝わらない部分があるので是非来校してください。
四谷進学会:そういった学校見学みたいなものはいつでも受け付けているのですか?
岡田先生:はい、事前に電話でご連絡頂ければやっています。
四谷進学会:体育祭ですとか、文化祭などの行事は結構盛り上がるのですか?
岡田先生:そうですね、体育祭は高校ではクラス毎のTシャツを作ってかなり盛り上がります。
四谷進学会:体育祭の開催場所はどちらでやられているのですか?
岡田先生:さいたま新都心に、学園のグラウンドがあるので、そこで体育祭をやっています。男子校も商業も女子校も日にちは違いますが、そのグラウンドで毎年やっています。
四谷進学会:文化祭は何か目玉の企画などはありますか?
岡田先生:3校合同企画と言って体育館に芸能人を呼んでいます。あとはそれぞれのクラスやクラブが出し物、模擬店をやっています。吹奏楽部のコンサートやマーチングバンド部のグラウンドでの演技・演奏、合唱部のミュージカルは大人気ですね。また、吹奏楽部とマーチングバンド部は、学校前の白山通りでパレードをおこないます。パトカーも出動して近所からたくさんの人が集まります。
四谷進学会:最近ですと、どんな有名人をお招きしたのですか?
岡田先生:覚えているのは、こじるり(小島瑠璃子)さんが来ていました。あと、ものまねのホリさんです。最近では「イェーイ」で有名なサンシャイン池崎さんですね。盛り上がりました。
四谷進学会:大学の文化祭だと、有名人を呼ぶのが一般的ですけれども、中学校高校でも呼ぶのですね。
岡田先生:そうですね、お笑い芸人の方とか、カメラマンの渡部陽一さんも来ていました。
四谷進学会:そういった有名人は先生の中で選定するのですか?
岡田先生:生徒会の方で決めているみたいです。
四谷進学会:部活動があると思うのですが、部活動に入ることは生徒さんにとって必須なのでしょうか?
岡田先生:必須ではないです。ただ同じクラス、同じ学年のヨコの繋がりだけでなく、異なる学年とタテの繋がりを持つことは今後の自分にとって大きな財産となることは間違いありません。そして共通のことに向かってみんなで考え、活動していく経験もとても貴重な体験となるので、部活動をすることは推奨しています。
四谷進学会:大体加入率はどれぐらいになりますか?
岡田先生:結構高いと思います。8割、9割は入っているのではないでしょうか。
四谷進学会:ほとんど入られているのですね。特に特徴的な部活動はありますか?
岡田先生:生徒数に比べて本当に数が多いです。同好会をいれて全部で25あります。女子校らしい部活だと箏曲部や華道部、茶道部などがあります。これらの部は週1回ぐらいしか活動できないので、兼部している生徒もいます。マーチングバンド部は今年も全国大会に出たのですが、6年連続全国で金賞を取っています。
四谷進学会:すごいですね。
岡田先生:それから吹奏楽部は、先ほど言ったように3校が合同でやっているので、部員が100人ぐらいいます。高校しかないバスケットボール部は、都大会ベスト8で結構強いです。
四谷進学会:なるほど。部活動だけではなく、同好会などもあるのですね。
岡田先生:あります。ボランティア同好会や文芸同好会があります。
四谷進学会:ボランティア同好会などはあまり聞かないかと思うのですが。
岡田先生:そういう活動に興味をもっている生徒も結構います。以前は夏の合宿で東日本大震災の復興支援を目的として南三陸町へ行きました。海岸の清掃だけでなく、近所の子どもたちに楽しく遊んでもらえるイベントも企画していました。
人気の制服について
四谷進学会:制服についてお伺いいたします。2020年度からスラックスが導入されたとのことですが、こちらはセクシャルマイノリティの生徒さんのことも考えての導入なのでしょうか?
岡田先生:LGBTQへの理解や、生徒の多様性の尊重ということもありますが、寒さ対策や防犯的な意味でスラックスも良いのではないかということで導入しました。
四谷進学会:制服のバリエーションが豊富なのが特徴かと思うのですが、生徒さんの評判はいかがですか?
岡田先生:好評みたいです。ある制服ランキングで東京都の2位になったそうです。
四谷進学会:各々好きなものを着ているのですか?
岡田先生:そうですね。組み合わせが色々できるので、生徒一人ひとりが自分の好きなコーディネートをして楽しんでいます。
EHD教育で様々な伝統文化に触れる
四谷進学会:全人教育プログラム、EHDが御校の特徴的なところと思いますが、そちらについて、お伺いしてもよろしいでしょうか?
岡田先生:EHDは体験型のプログラムになっています。いろいろな日本の伝統文化を中学の時に学びます。箏曲は全員やって、外部から先生を呼んで、初めて琴に触りながら曲を弾きます。また、書道・華道・日本舞踊などを選択制で経験します。ボランティアプログラムでは、中学1年生で手話、2年生で近隣の老人ホームに訪問、3年生で点訳をします。こういったものは自分が体験することで相手の身になって、考えることできるようになると考えています。
四谷進学会:EHDの中で、中学校の道徳の授業もカリキュラムとして組まれていたと思うのですが、他の学校の道徳とはまた違った内容なのでしょうか?
岡田先生:当然教科書は使いますがそれ以外にも様々な教材を使いながらやっています。決められたものをやるというよりは、その時々に合ったものができるところが良いと思います。実際にあった出来事をもとにして話し合いをすることもできます。
京華女子に合格するためには
四谷進学会:これから京華女子の受験を控えているご家庭もいらっしゃると思います。京華女子に合格するために何か意識すべきポイントがございましたらお伺いしてもよろしいでしょうか?
岡田先生:入試問題自体は基本的な問題なので、基礎力をきちんと身につけてくれれば十分合格ラインは超えると思います。特待生の制度もあるので、より高得点を目指して、特待生を取ってもらうと良いと思います。
四谷進学会:特にどういったご家庭に学校をおすすめしたいですか?
岡田先生:「共学校」が当たり前で、「女子校」という選択肢を考えていないご家庭に是非女子校の良さを知っていただきたいです。それでも、ずっと小学校で共学の学校に通っていた中で、女子校を選ぶのは、ちょっとハードルが高いと感じるご家庭もあると思います。女子校の良さを知るには本校に来ていただくのが1番です。そうすればよく分かってもらえると思います。
生徒が頑張りたいことを全力でサポートする環境
四谷進学会:他の学校にはあまりない制度や特徴はありますか?
岡田先生:中学時代に、フランス語か中国語のどちらかを選択する授業が週1時間あります。それを第2外国語として3年間やるというのは、特徴かと思います。授業はネイティブの教員が指導しています。高校になるとそういう授業はないですが、放課後に中国語とフランス語の講座が無料で受けられるので、より頑張っていこうという場合は受講することができます。
四谷進学会:フランス語と中国語どちらが人気ですか?
岡田先生:年によって違います。理由はよく分からないのですが、中国語が人気ある時とフランス語が人気ある時で結構バラつきがあります。
四谷進学会:第2外国語授業をカリキュラムに取り入れている意図はどういったところにあるのですか?
岡田先生:週に1回の授業なので英語のように本格的にやる訳ではありません。しかし、他言語を通して色んな文化に触れることは、大切だと思います。なかなかご家庭でやるのは難しいと思うので、だったら学校としてそういう場を設けようという意図もあります。
日本の伝統文化を学んで、日本のことも知りながら、外国のことも知って、語学力を身につけて、将来世界に出て行く人もいます。そういった下地作りの一助にもなっています。
四谷進学会:他に、補足することなどはありますか?
岡田先生:あとは、英検にも力を入れています。中学3年生までに英検準2級を取得している生徒が53%いるので、それは高い水準だと思います。
四谷進学会:高いですね。そこまで高い水準を獲得できている理由な何ですか?
岡田先生:英語を嫌いにさせないということが、やはり大きいと思います。また生徒数が少ないので、面接指導はマンツーマンでできます。色んな質問を受けたり面接対策もやったりしているので、生徒が頑張りたいと思ったら、それを応援・サポートする環境がある学校だと思います。
四谷進学会:中3までに英検準二級を取ることは自信に繋がりますね。
岡田先生:そうですね。どんな生徒でも、資格を取れるとやっぱり嬉しいですから。
四谷進学会:そうですね。岡田先生、インタビューのお時間をいただきましてありがとうございました。