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京華女子中学校

教師インタビュー

社会科 山岡先生

一貫校ならではのゆとりのある授業設計

四谷進学会:京華女子中学校の山岡先生にお話しを伺っていきます。よろしくお願い致します。

 

 

山岡先生:よろしくお願い致します。

 

 

四谷進学会:まず、授業カリキュラムや授業内容についてお伺いさせて頂きたいのですが、山岡先生は社会科の先生をやられているということで、よろしいですか?

 

 

山岡先生:はい。

 

 

四谷進学会:社会科の授業のカリキュラムに関しては、先生の方で個別に組み立てられているのでしょうか?それとも教科の先生方との会議で組み立てているのでしょうか

 

 

山岡先生:学年ごとの授業の進度については、社会科の教員全員で話し合ってカリキュラムマネジメントを作り、それに基づいて各学年のシラバスを作っています。具体的な授業の進め方に関しては、各教員が個別に考え、独自の教材を作って進めています。ただ、本校の社会科は教員同士の「横のつながり」が強いので、それぞれの工夫や悩みをよく相談し合い、情報共有しています。そのため、授業のカリキュラムに関しては個であり全であり、という感じですね。

 

 

 

四谷進学会:なるほど、そういう形なのですね。山岡先生はもう御校でずっと先生をやられているのですか?

 

 

山岡先生:そうです。

 

 

四谷進学会:それでは分からない部分かもしれないですが、公立の学校と異なる授業内容などは何かありますか?

 

 

山岡先生:公立の学校にどれぐらいの自由度があるか、などはあまり考えたことがありませんが、本校は中高一貫なので受験がない分、詰め込みにならないという点はあると思います。私を含めほとんどの教員が中高両方の授業を持っているので、目の前の生徒たちが高校に上がった時のことを見据えながら、高校で深くやる分、中学ではそこまで深くやらないものもあります。逆に、中学段階でも少しずつ高校の内容を入れるということもあります。そういう意味では、受験を意識しすぎずに「学び」や「発見」を重視した授業ができますし、そういうことが却って大学受験に役立つ、みたいなことがあります。

 

 

四谷進学会:長期的な視点で詰め込みすぎずというところですね。

 

 

山岡先生:そうです。それよりも思考力や表現力に割く心の余裕は、生徒たちにも多分あるとは思います。

発表は聴き合う時間

四谷進学会:先生が感じる京華女子の授業の雰囲気として、何か特徴的なものはありますか?

 

 

山岡先生:もちろん、学年ごとのカラーにもよるのですが、「発言しづらい」という空気はそこまでないです。むしろ発言はしやすい。だから、質問もしやすいという雰囲気はあると思います。発表する時に、みんなモジモジしないというか、「えー当てられたよ」などの雰囲気もないです。

 

 

四谷進学会:なるほど。生徒たちが発言しやすい心理的な安心感というのは、先生側の方でも、何か意識されていることはありますか?

 

 

山岡先生:私は、話すことよりも、まず聴くことを重視しようと生徒に伝えています。話す力やプレゼン力を伸ばそうという教育をすると、「そういう力がないと話せない」「そういう力がない私はダメなんだ」という意識を生徒に持たせてしまうことになります。そうではなくて、教室にいるみんなが聴くという姿勢さえ持っていれば、口下手な子でも、そこまでプレゼン力がない子でも、安心して発言できるようになる。「みんなが聴いてくれるから話そう」と思えるのだ、と思います。あとは結局、話すより聴く方が学ぶことが多くなると思うので、生徒にも「聴く姿勢を持って」というのはキーワードにしています。グループワークをする際も「話し合って」と言わずに「聴き合おう」という言い方をしています。

 

 

四谷進学会:面白いですね。

 

 

山岡先生:生徒同士が、お互いを「引き出す」みたいな感じにしています。聴いてくれるという安心感があって、発言できるようになるクラスというのを理想にしてやっているところです。

 

 

四谷進学会:素晴らしいですね。何か具体的に聞く姿勢に関して、指導していることはありますか?

 

 

山岡先生:例えば誰か生徒を指名して発言をさせると、他の生徒はその発言を聴いていない、ということがあります。指名された生徒と先生とだけの会話だと思ってしまうと、他の生徒は他人事のような顔をしています。そういう時も、「いまは聴く姿勢ね」「○○さんの意見、いま聴いていた?」と言って、今は聴く時間なのだなという意識を持たせ、メリハリはつけたいと思っています。一番意識はしていますし、授業の始めに何度も言っています。

 

少人数だからこそ一人一人をしっかり把握できる

四谷進学会:御校の特徴として、1クラスあたり20人くらいの少数クラスというところが挙げられると思うのですが、教える側として、少数クラスによるメリットや教育しやすいと感じるポイントはありますか?

 

 

山岡先生:やっぱり、授業中に一人ひとりを丁寧に見られるところです。40人とかでも見ることはできますが、人数が少ないからこそ、学び合いでグループワークしていても、どの生徒がどのようなことを考えているかというのが見やすいです。例えば、グループで聴き合った後に、全体で個人の考えを聴かせてもらうようなにも、生徒が緊張しにくい。あとは、1人の発言でみんなが繋がりやすいと思います。やっぱり40人とかでやると、一人の発言でみんなが反応したり感嘆したりするというのは中々起こりづらいですが、少人数だと一体感が出ます。そういう学び合いをするには、少人数であることはとても良いと思います。

 

また、教室の机の配置をコの字にして授業しています。やはり前を向いていると、先生しか見えないので、生徒同士が繋がらないなと思っていました。コの字だと生徒たちがクラスメイトの顔を見やすいので、みんなで聴き合ったり考え合ったりしやすいです。前に向いているのとコの字にしているのとでは、雰囲気が全然違います。テキストがあって、そのテキストをみんなで考えることが大事なので、まずコの字にして、お互いに一礼する感じです。

 

 

四谷進学会:コの字だと双方向的な感じになりますよね。

 

 

山岡先生:そうですね。みんなでグループワークしているみたいな雰囲気になります。

 

 

四谷進学会: 20人だからこそできることですね。

山岡先生:そうですね。高校では40人でもコの字にしてやりますが、やはり20人前後が学び合いやすい。中学生のあの人数でやるのが良いと思っています。

 

 

四谷進学会:逆に、少人数だからこそ、学級運営を行う上で難しいと感じる点とかあったりしますか?

 

 

山岡先生:そこまで深刻な問題ではないのですが、学年が上がってクラス替えをする時に、2クラスしかないところですね。全く新しい人間関係や空気を作りづらいというところは少しありますが、そこまで大きな問題ではありません。

 

先生が感じる女子校ならではの人間関係の難しさ

四谷進学会:先生が一番生徒さんのことを間近で見ていると思うのですが、女子校ならではの人間関係の難しさのようなものはありますか?

 

 

山岡先生: 1人になるのを怖がる子が多いと思います。男女関係なく、人間誰しも孤独は絶対に嫌だとは思いますが、そもそも人数がちょっと少ない分、繋がりが失われることに恐れを感じる子がもしかしたら多いのかもしれないです。勘違いが多いですけど、何かあの子の反応がちょっと冷たいから、私嫌われたかもということはあるのですが、よく話聞いてみると、互いにそう思っていたみたいな。お互い両思いだよということは結構あります。

 

 

四谷進学会:山岡先生が生徒さんを見られて、1人になるのを恐れているのだなと感じる瞬間はどういった瞬間ですか?

 

 

山岡先生:割と生徒から相談をしてくれるのですが、その内容が何かそういう感じがします。具体的な例は言えないのですが、そういう相談が多いというイメージです。僕は男子校で6年間過ごしてきたのですが、全くそんな事を考えたことがないし、孤独になっても別にというか、先生に言うほどじゃなかったです。でもそれがここは多い。些細なことでも相談してくれます。それは、距離の近さ故みたいなところはあるかもしれないです。

職員室が賑やか 先生も生徒と話すのが楽しい

四谷進学会:今の話と繋がってくるところかと思うのですが、御校の特徴として、職員室が休み時間の時に勉強や悩み相談で賑やかになるということですが、どうしてそこまで他の学校と比べても、生徒さんと信頼関係を築けているのですか?入学してくる生徒さんの特徴としてそういう子達が多く入ってくるということでしょうか?

 

 

山岡先生:もしかしたら、広報的な理由があるかも知れないです。僕が入った11年前ぐらいから職員室はそういう感じでした。職員室が賑やか、生徒と先生の距離が近いというのを学校説明会などでも言っているので、そういう学校だと思って入ってくれています。また、先生方がそういう伝統を引き継いできたことも大きな理由だと思います。

 

 

四谷進学会:なるほど、脈々と受け継がれているのですね。

 

 

山岡先生:自然に先生達の方から生徒に話しかけています。気になる生徒がいたら色々な先生が声を掛けてみたり、自分が授業を担当していない生徒に対しても話しかけたりしている光景をよく見かけます。そういう先生方の雰囲気も大きいと思います。

 

 

四谷進学会:素晴らしいですね。逆に言うと、生徒さんとお話するというのは、中々時間を取られるところかと思います。先生方は日々お忙しいと思うのですけれども、何か効率が良い働き方の工夫などはありますか?

 

 

山岡先生:私にはそれが課題です(笑)。生徒と話すのが好きな先生、生徒との時間を取ることを大切にしている先生が多いので、効率の良い仕事の仕方は、多分それぞれの工夫次第であると思います。

少人数だからこその綿密な勉強フォロー

四谷進学会:授業をどんどん進めていく時に、どうしても躓いてくる生徒さんもいらっしゃると思うのですが、そのような勉強につまずきかけた生徒さんへのフォローはどのようにしていますか?

 

 

山岡先生:つまずきにも色々あると思うのですが、それこそ人数が少ない分、個別対応がしやすいです。教員側も自由度をもって動きやすいので、気になる生徒がいた場合、教科の先生同士で、つまずいている子や理解しきれていない部分がある子をちょっと残して補習させていたり、その生徒だけ職員室に読んでみっちり教えたりもしています。そういうのが好きな先生もいます。

また、中学校1年生の1年間だけですが、フォローアップゼミがあります。本当に超少人数で厳選したメンバーを、数学と英語に関しては週1回必ず残して課題をやらせて、先生が必ずついて指導して、次の試験の時には、このメンバーに選ばれないようにねという形で指導しています。

 

 

四谷進学会:超少人数と仰っていましたが、大体何人ぐらいですか?

 

 

山岡先生:場合によるのですが、10人以内、少なくて3人です。

 

 

四谷進学会:凄いですね。

 

 

山岡先生:やっぱり母数も40人ぐらいで少ないので、そうした丁寧な指導ができます。

 

 

四谷進学会:普段から少人数で、生徒さんを沢山見ていらっしゃる環境ですが、基本そういった補習のところでも、さらにフォローアップがあるというのは素晴らしいです。

1人で挫けることがないような空気に

四谷進学会:理念的な部分もお伺いしたいのですが、京華女子さんの教育を支える精神的バックボーンの一つに、ネバー•ダイという理念がホームページに掲載されていたかと思います。生徒さんが諦めず挑戦し続けるために、先生方が生徒さんと接する時に、何か意識されていることはありますか?

 

 

山岡先生:私、個人のものでも良いですか?

 

 

四谷進学会:もちろんです。

 

 

山岡先生:僕個人としては、ますは話を聴こうと思っています。見ていてちょっと様子がおかしいと思ったら話しかけますし、相談に来てくれたら、話を聴いています。

何をアドバイスしたところで、生徒たちは「いや、でも…」という感じなので、まず話を聴くことで本人の口から「いや、でもこうしたいんです」とか、「本当こうなんです」というようなものが出るまで粘ります。

私たちがネバー・ダイです。こっちが諦めず、聴くことで繋がりを大切にしているという感じです。やはり1人だと絶対心が折れるので、協力してとか、授業中も分かんないことをクラスメイトに訊くように言っています。

「きく」にもListenとaskの 2種類あります。askをしないと人は成長できないと私は思っていて、生徒にもそれを話しています。些細なことですが、授業中とかも分からないことがあったら、周りに訊くとか、分からないままじゃ駄目だとか、普段のホームルームとかでも、周りと相談しながら、協力しながら。「協力」という言葉をとにかく意識して使っています。まず、1人で挫けるということがないような空気を作ろうとしています。その上で駄目だった場合は、ネバー・ダイの精神で引き出す。理想はそういう感じです。

 

 

 

四谷進学会:「協力」がキーワードということですが、学校の先生の間でもそういった協力体制というか、1人で挫けないような繋がりみたいなものはありますか?

 

 

山岡先生:どうですかね。私は他校さんを知らないので分からないのですが、仲は悪くはないと思います。個人差はありますが、割とフラットというか、厳しい縦関係みたいなものは、そんなにないです。管理職も命令口調で偉そうということはなく、話を聴いてくれます。年齢や立場に関係なく相談し合える職員室なので、私も安心していて、ストレスチェックも「全くストレスがない」ということでした。

 

 

四谷進学会:そういった定期的なストレスチェックみたいなものがあるのですね。

 

 

山岡先生:あります。卒業生が遊びに来た時に結構言われるのが、先生同士の仲が良かったから、私達は楽しめた、安心したということです。職員の雰囲気が良いというのは、生徒にとっても良いかも知れないです。

 

 

四谷進学会:そうですね。やはり、思春期の繊細な時期なので、大人達をよく見ている年頃だと思います。

 

 

山岡先生:怖いですね(笑)。

 

 

四谷進学会:良い意味で、先生方の雰囲気が生徒さんに伝播していっているのかなと感じました。

 

生徒との距離が近いからこそ実現した「学び合い」

四谷進学会:山岡先生が京華女子で働いていて、良かったと思うことは何かありますか?

 

 

山岡先生:生徒の人数が少ない分、生徒も結構距離が近いので正直に結構色々言ってくれるところです。授業でも分かりにくかったら、正直に「ちょっとあれは説明されなきゃ分かんないです」とか言ってくれます。それはちょっとムカッと思うこともありますが、その分、言われなかったら気付けないことでした。私にも発見がありましたし、私と対話できたことで生徒も納得してくれたようです。「じゃあ、わからないことがあったら、次からはたくさん授業中に質問しますね」と言ってくれた子達は、やはり結構変わります。成長していきますね。人数が少ないからこそ、こういう雰囲気だからこそ、対話することで、私たち教員も学ぶことができています。

 

 

四谷進学会:先生ご自身で、一番成長したな思うところは、どのような点ですか?

 

 

山岡先生:生徒との絡みの中で成長したことで言えば、学び合いの授業も、最初からできた訳ではないです。最初はいわゆる、一斉型の講義形式の授業をやっていました。学び合い形式の授業はずっとやってみたいと思っていましたが、そういう先生も全然おらず、私自身、自信が無かったのでなかなかできませんでした。ある時、思い切ってやってみたら、生徒が興味を示してくれました。その経験があったので大丈夫だと思えました。やはり、生徒の人数が少なく、生徒との距離が近い分、僕自身も緊張せずにできたというところがあるので、僕自身も思い切ることができました。こちらが生徒の心を読みながら、対話しながら、落ち着いてできるというところがあるので。

 

全然自己中心的な意味ではなく、生徒のためにと思って、思い切りやってみて、レスポンスも貰えるので。その繰り返しができたので、経験値を積めて、それが成長になったのかもしれないです。

無言館での真剣な30分

四谷進学会:生徒を沢山見られてきていると思うのですが、何か京華女子らしいなというエピソードがありましたら、お伺いできますか?

 

 

岡田先生:行事ですと、無言館の30分を本当に真剣に見るのは、非常に個人的に感動しまた。

男子校であれば、5分も持たずに騒がしくなったり、退館したりしてしまいそうなものです。

 

 

四谷進学会:無言館ですか?

 

 

山岡先生:11月10日から12日まで、中学2年生は長野県に宿泊行事に行きました。そこで、無言館という、太平洋戦争の戦地に送らされてしまった画学生たちの絵が展示されている美術館を訪れました。戦場の絵とかではなく、画学生が行く前に描き残していった日常的な絵を展示しているという展示館です。

私自身、中学2先生の時に行ったことがあって、生徒にも平和について考えてもらいたいと思い、訪れました。見学の時間を30分とったのですが、美術館自体はとても小さいので、見学を終わろうと思えばすぐ終わります。しかし、すぐに退館してしまう生徒はおらず、時間ぎりぎりまで見学する生徒もいました。本校の生徒は好奇心が旺盛なのもありますが、共感する力があって、繊細な感受性みたいなものもあるのかもしれないです。

 

 

岡田先生:男子校では絶対ありえないですね。

 

 

山岡先生:本当にみんな真剣に見てくれました。しっかり取り組むというか、世の中のことを深く考える生徒は確かに多いかもしれないです。驚きですし、私自身安心することが多いです。行って良かったと思いました。

 

 

四谷進学会:私自身も男子校出身なので、全然違うと思いました。インタビューさせていただきありがとうございました。

英語科 安藤先生

教師全員が同じベクトルを向いた授業

四谷進学会:英語科の安藤先生にお話しを伺っていきます。よろしくお願い致します。

 

 

安藤先生:よろしくお願い致します。

 

 

四谷進学会:まず、英語のカリキュラムについてお伺いいたします。英語の授業のカリキュラムは、個々の先生が立てているのでしょうか。それとも教科の英語の先生方との会議で立てているのでしょうか。

 

安藤先生:カリキュラムについては、学校全体で本校独自のルーブリックという、グローバル力や共感力を含む10個の指標があります。それを指標として、英語科の指導方針に落とし込んでいるというような内容になっています。

 

 

四谷進学会:何か他校と異なる授業内容や京華女子ならではの教科の特徴、変わっている点はありますか?

 

 

安藤先生:一つのカリキュラムに沿っていくと、教員が異なり、授業スタイルが違っていても、目指す方向は同じところを向いているので、生徒の学習習熟度は確かだと思います。また、そのベクトルが同じであることで、生徒たちがつまずいているところを英語科や他教科の教員とも共有でき、解決策を探しやすくなっていると思います。

 

 

四谷進学会:先生は2年前に別の私立の学校から赴任されたと伺いました。京華女子に移られたきっかけや理由は何かありますか?

 

 

安藤先生:きっかけは、色々ありました。自分の中で、教員一丸となって、生徒のよいところを伸ばしていくことに凄く憧れがありました。前任校ではその点に凄くギャップがありました。その時にこちらにご縁があり、魅力を強く感じました。無事に入ることもできて、今、実施してきていることに凄くやりがいを感じています。

 

 

四谷進学会:実際に入ってみて、みなさん同じベクトルに向かれているという感じですか?

 

 

安藤先生:そうです。むしろ、こんなに最終目標に向かって、揃えながら、教員ごとの色を出しながら、進んでいける現場があることに驚きました。

少人数体制で一人一人をきめ細かく把握できる

四谷進学会: 1クラス当たり20人という少人数クラスが御校の特徴の一つかと思います。少数クラスによるメリットや先生側にとって教育しやすいポイントなどはありますか?

安藤先生:1クラス20人程度なので一人一人の進捗が、まず一目瞭然です。今日の内容を理解できている子とできていない子、理解できていない子にはどのような課題を出すべきかがクラス単位でぱっと見て分かるというのが、非常にメリットだと思います。生徒との会話の中で、「今ここを分かってないよね?」と聞くと、「なんで知っているのですか?」といった会話があるぐらい、お互いがお互いのことをよく共有できているなと思います。

四谷進学会:確かに生徒の苦手を見抜きやすいところがあるかもしれないですね。何か女子校ならではの、教える時の難しさは感じますか?

安藤先生:同性ではないので、嫌悪感が立たないような授業作りを意識しています。自分の授業の特徴の一つに、「授業の入りを大切に」というのがあります。いきなり英語から始めると、億劫に思ってしまう生徒も中にはいるので、アイスブレイクをちょっと英語に変えてやってみる、最初に日本語から導入して、気づいたら英語を喋っているというような内容にしてみたりしています。もちろん、年度を通して授業の入りもレベルアップしていき、乗りやすい授業というのを、毎回意識するようにしています。

生徒と同じペースで歩みを進めてくれる教員だからこその安心感

四谷進学会:御校の特徴として、勉強や悩み相談で、職員室が休み時間に賑やかになるといことですが、生徒さんと信頼関係を築くうえで、先生の方で意識されていることはありますか?

 

 

安藤先生:私が感じているのは、教員や学年ごとの意見がしっかりしているということです。各学年で「今年1年間これを頑張りましょう」という目標を掲げていることによって、生徒が変にぶれることがないと思います。それは型にはめるということではなく、各学年の雰囲気を大切にし、各生徒に任せる部分は任せながら、その学年が目指しているところを一旦目指してみましょうという形でやっています。同じペースで歩いている教員だからこそ、生徒が不思議に思ったこと、疑問に思ったことを生徒も相談してくれるし、我々も相談に乗れるのだと本校へ来た時に感じました。

 

 

四谷進学会:素晴らしいですね。

 

 

安藤先生:我々教員も「生徒に負けないぞ」と思いながら、いつも職務に当たっているような感じがします。教員の熱量があるからこそ、教員同士も切磋琢磨、協力しながら前進していけるのだと思います。

 

 

四谷進学会:生徒さんの悩み相談なども受けていると、時間をどうしても取られてしまうかと思います。先生方で、効率の良い働き方や工夫されている点はありますか?

 

 

安藤先生:生徒に相談してもらえるのであれば、それに対する苦の感情は、先生方が持たれる様子は一切ありません。効率の良い働き方という点では、岡田先生が色々と切り盛りして下さっています。その為、安心して我々がやりたいように日々の教育活動を行えています。生徒も頼ってくれるので、1人の人間が伸びるために、我々ができることがあればサポートしていくというスタンスでやっています

個別の勉強フォローも一人一人に合った方法で

四谷進学会:集団授業なので、どうしてもつまずいてしまう生徒さんもいらっしゃると思います。そういった生徒さんに対してはどのようにフォローしているのでしょうか?

 

 

安藤先生:一斉授業の後に、個別で呼ぶことがやります。中には個人で呼ばれることに恐怖心を覚えている子もいるので、同じぐらいの理解度の子にわざと声を掛けて、「一緒に来てみる?」という形で、小グループにして呼びます。もちろん個人の方を好む生徒もいるので、その辺は見比べながら対応しています。

 

 

四谷進学会:そこら辺を察しながら、フォローしているのですね。

 

 

安藤先生:それは少人数のクラスで授業ができている一つの功績なのかと思います。

生徒を支えるコーチとしてネバー・ダイを遂行

四谷進学会:理念的なところをお伺いしたいと思います。御校の教育を支える精神的バックボーンの一つに、ネバー・ダイという言葉がありますが、生徒さんが何かを諦めかけているときの接し方として意識している点はありますか?

 

 

安藤先生:私が子供の時は、「教わっている」という感覚が非常に強かったのですが、生徒自身に色々やらせてみるというように時代が変わっています。生徒が選手、教員がコーチといような感覚が非常に重要だと考えています。折れそうになった時にどんな声掛けができるかというのは、毎日のようにやっています。生徒が諦めそうな時も、まずは、大人の手を借りて、階段を上がるという経験を繰り返していくと、折れた時に、あの時こういう風に声を掛けられたな、こういう風に思ってみようかなという一つの選択肢になるのではと信じています。

教え合いで高まる共感力

四谷進学会:御校の特徴として、生徒さんが発表する機会を多く設けているという点が挙げられると思います。発表プレゼンをする場合に掛けている言葉や、逆に聞く側に意識させていることなど、発表する時の雰囲気作りといったところで意識していることはありますか?

 

 

安藤先生:理念の下にグローバル力、共感力、学力という「教育の三本柱」があるのですが、その中でも共感力というところが一番関連していると思っています。普段の授業や発表の際に、まず自己表現するのではなく、「聞き合う姿勢」、相手の意見を聞き取ってから、自分の表現を伝えましょうという順番での指導が非常に多いです。安心できる場を聴衆が作れると知ることで、最初は上手くいかなかったプレゼンも自信たっぷりに表現できるように成長していると思います。

 

 

岡田先生:先日、研究授業があったのですが、生徒同士が同じような答え合せをする場面で、それで終わるのではなく、お互いに教え合って、確認していました。その辺は英語の授業の中で力がついていくのではないか感じました。

 

 

四谷進学会:そういった小さな積み重ねが双方向的な雰囲気になってくるんですね。

 

 

安藤先生:教え合うということが共感力や学び合い、聞きあいにも繋がってくるので、授業にもその理念は落とし込んでいます。分からないところは聞ける、分かっている人は教えられるように、成長していけるとの期待を込めて、取り組んでいます。

社会に出ても通用する糧を培う

四谷進学会:先生が京華女子で働いていて良かったと思うことはありますか?

 

 

安藤先生:今まで話してきた理念や少人数制ということも良いと思います。個人的には、「自分が何者なのか」という問いの答えを、生徒たちに学校生活の中で模索してほしいと思っています。社会に出て、自分に何ができるかを考えた時に、やはり学校生活で培ってきたこと、自分の得意・不得意というところの指針や、自分の好きなもの、届けたい想いを中高という長い学校生活の中で少しでも見つけて欲しいと思います。英語の授業はもちろん、担任をしているクラスの終礼などでは色々な立場に立って考えてもらうことで、自分を見つめる時間を多くとっています。自分の教育指針を学校の教育理念に基づいて、発揮できる部分というのは、すごくありがたいと思っております。

 

 

四谷進学会:素晴らしいです。中々、自分を見つめる機会はあまりないですよね。大事なところですね。

 

 

安藤先生:他の私立を悪く言う訳じゃないですけれども、これをこういう風に伝えてくださいと言うような学校も中にはあります。本校は教育理念に基づいて、自分が見つけて欲しいものも打ち出していけるので、そこに関してはすごくやりがいも感じていますし、ありがたい気持ちもあります。

 

 

四谷進学会:安藤先生のお話を伺っていると、先生同士もチームとなって協力して、同じ方向を向いてらっしゃるのだと感じられました。こういう先生方に教わりたかったなと思います。

 

 

安藤先生:私も生徒だったら、すごく通いたいと思う学校だと思います。

 

 

四谷進学会:先生の熱い気持ちが伝わってくる良いインタビューになりました。ありがとうございました。

 

 

安藤先生:ありがとうございました。

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